小学生にとって「24才=オッサン」であり「中学生=かっこいいお兄さんお姉さん」である。という話
「ブログの前置きが長いね☆」と、母に言われたことを思い出したので、今日はサラッと。
教室で日々起こることの中で、特に自分の気づきとなったことを書く「教育のハナシ」です。
最近、小学生にとって、中学生はかっこいいお兄さんお姉さんだけど、24才の僕はもうオジサンである。という事実を痛感した出来事がありました。
その出来事から、具体的に道筋がイメージできる、届きそうな未来像を見せてあげることで、エネルギーが生み出されるんだな。という気づきまで至った話です。
ちょっとこれだけじゃ意味わからないと思いますが、読んでいくと分かって頂けると思います。笑
これまた何かのハウツー本に書いてそうな話しではあるんですが。
※弟のほぼ文無し旅はちゃんと続き書きます!本当です!
小学生は24才の真似はあまりしたくない。14才の真似はしたい。
昨日あった出来事です。昨日ですね、教室に新しいアイテムが届きました。それがこちらです。スマホでVRが楽しめる!ダンボール製ヘッドマウントディスプレイ「ハコスコ」。
VR:VRというのはですね、「仮想現実」を総称する言葉で、3Dや、360度映像、センサーを用いた痛覚刺激など、使用者の五感を含む感覚を刺激することで、人工的に現実により近い環境を作り上げる技術で、バーチャルリアリティ(Virtual Reality)の略です。今、名だたる企業が関連機器の開発に力を入れています。今年はそのVRの注目度が一気に増した「VR元年」らしいです。
これね。超面白いんですよ。ダンボール製のメガネに、専用のアプリを起動したスマホをセットするだけなんですけど、臨場感がしっかりあって。
僕は最初、人体に入り込んで悪い細胞を退治するゲームをやってみたんですが、入り込みすぎて、自分がトイレにいることを忘れていました。(え?ああ、そうです。トイレで用を足しながらプレイしてました。良い子は真似しないでください。脱腸のリスクが高まります。)
ソニーの出した映像がありました。伝わるかな。これが本物。今回買ったのは教育用のお試しキットみたいなものです。
それで、これはすごいなと。みんなに早く見せたいな!と思って、生徒が来るの待ってたんですよ。
そしてやっときました小学生!前回のブログでも書いた、ラブリーで生意気な生徒たちです。
時代はここまで来ているんだぞ!と教えるにはいい機会。最新の機器に触れ、この移り変わりの早い世界を少しでも感じてくれ!と思いながら、どや!と「ハコスコ」を彼らに見せました。
「360度見えるぞ!すごいんだぞ!うわー、すごい!ひゃーすごい!」
すると、小学生たちは、
「へ〜〜……。あとでやりたい。」
「…え?」
VRだぞ?すごいんだぞ?仮想現実だよ?知ってる?
もう当然食いつくと思ってたから、びっくりです。
え?なになに?今の子ってそうなの?こういうの嫌いなの?
やっぱり、はじめしゃちょーなの?ヒカキンなの?彼ら級のリアクションが必要なの?
こんなに楽しそうに僕が触ってるのに興味はないの?ゼロなの?
「あとで」ってなんだよ!今を生きろよ!(?)
とか、いろいろ考えたんですが、そうかこの子たちには刺さらなかったか。残念でしたねハコスコさん。次はもう少し頑張ってね。と責任転嫁をしていた1時間後。
中学生たち登場です。小学生の時と同じように紹介すると、
「え?先生なにそれ!?」
「あ、俺知ってる!これやりたい!!」
うんうん。僕は信じていたよ、君たち。そうかそうか、小学生にはまだ少し早かったか。
中学生、チミたちはやはりよくわかってる。そうだよ、VRだよ。
未来が来たよ。Amazonで運ばれて来たんだよ。ドラ○もんもそのうちできるよ。
中学生Aくん「うおー!これすげえ!」
中学生Bちゃん「なにこれ!うちも次やりたい!」
中学生Cくん「おい、俺が順番先だろ!」
大はしゃぎです。
「はいはい、宿題まずやりなさい。これは後でね」と諭します。
これぞ僕の待っていたリアクションです。いやあ、いい買い物した。もう一個買ってもいいくらいだなあ。
なんて思っていると、小学生が、
「私もやりたい!」
「次、僕も!」
(……おい。どうゆうことじゃ、おんどりゃあ。)
驚きすぎて、つい住んだこともない広島の方言が脳内に浮かんでいました。
僕があんなに面白いよ、って言っても聞かなかったくせに!
へ〜。とか言ってたくせに!
僕が楽しそうにしている姿よりも、中学生が楽しそうにしている姿の方が、VRを魅力的に写したのです。
ここから気づいたのは、小学生の彼らにとって24才の僕はもうオジサン。単純にあれこれ真似したい対象ではないのです。
そして中学生は、自分の未来のモデルケース。かっこよく見えて、羨ましく思う、なんでも真似したい対象なのです。
※絵はスタッフが2秒で描いてくれました。
「届きそうな未来像」を見せる。
ここでの教訓は、「届きそうな未来像が、エネルギーを生み出す」という点です。
僕が、小学生にとってオジサンであるという話はどうでもいいし、そもそも僕はオジサンじゃないぞ、おい。(錯乱)
川村は今回のことから考えました。なにやら行動のきっかけを作るときは「届きそうな未来像を見せる」というのが、大事そうだな。と。
そして、届きそうかどうか、という点で「年齢が近い」というのは重要な要素であるようです。
今回の出来事における僕の解釈は、小学生にとって、僕が持っていた時の「ハコスコ」はオトナのモノであり、自分が手にするまで、その楽しさを理解するまで、まだまだ時間が掛かるモノでした。
が、中学生がそれを楽しそうに扱い始めたことによって「ハコスコ」への認識が全く別モノに変わるわけです。
中学生は1,2年後の自分の姿。彼らが「ハコスコ」を楽しんでいることで、小学生にとって自分でも楽しめるかもしれないモノに変貌を遂げます。その瞬間、「興味」というエネルギーが湧きました。
小学生の自分たちにとっても面白いものなのかもしれない。もしくは、中学生がを楽しいものならば、自分たちも楽しんだ方が中学生っぽいかも。とかそんなこと考えるんでしょう。すぐそこにある自分の未来像に近づくべく、積極的に真似しようとします。
確かにオトナでも、ファッション雑誌見て、可愛すぎる、かっこよすぎる人の服って真似しにくいですよね。身の丈に合わないというか。自分を重ねられないというか。自分に顔が似てたり、なんかこう庶民的だけどおしゃれなモデルさんとかの服の方が買いたくなる。(僕はユニ○ロのモデルが外国人なことにずっと疑問がありました。だって体型違うでしょ!足の長さ違うでしょ!)
年齢的な要素がどれだけ作用しているかは実際わかりませんが、中学生くらいだとやっと僕でも、その届きそうな対象にギリギリ入れる。(気がする)
僕が教室であれこれいじっていると、「なにそれ?」「やりたい!」と言ってくる。僕への興味が小学生よりもストレートかつ強い。
(もし高校生がいれば完全に負けるんでしょうけどね…。)
studioあおでいうと
小学生→→→(憧れ)→→→中学生
中学生→→→(憧れ)→→→運営スタッフ(学生&僕)
まあ、そういえば大学生をスタッフにしたのにも、そもそもそんな狙いがあったようななかったような。 熱意を持っている学生を集めて、僕よりも生徒と年の近い彼らが、刺激になってくれるといいなあと思って集めました。
studioあおの大学生スタッフは優秀です。多芸多才でクリエイティブです。僕が一人ずつスカウトしました。
家具職人の修行をしていた学生や、大企業と商品開発を行っていた学生、東北震災のチャリティー活動でNHKに取り上げられた学生もいます。
しかも最近、女子大生スタッフが作った教育プログラムが売れました!すごいっす。
スタッフ以外でも、出入りしている学生も海外経験も豊富だったり、学部の特待生だったり、学生ながらに個人でお商売していたり、などなど。刺激的な人間が多いです。
(人を選り好みしているつもりは全くないですが、どうせ来るなら何かに熱意を燃やしている子、燃やした経験がある子が来て欲しいとは思っています。)
「届きそうな未来像が、エネルギーを生み出す」ので、その"届きそうな未来"が多彩で多様でたくさんある空間になるといいなあと思っております。
話は戻りますが、この「届きそうな未来が、エネルギーを生み出す」という考え、非常に汎用的で、いろんなところに活かせそうです。
「届きそうな未来」は「道のりの具体的イメージ」が見えている。
前述の通り、届きそうにない未来はエネルギーを生まず、届きそう!と思った時にエネルギーが生まれるようです。
これは非常に応用が利きそうです。子どものやる気を掻き立てるのにはすごくいい気がします。
例えば子どもにもっと勉強を頑張って欲しい時、問題集を買ってきて、「これ一冊やりなさい!」では、やる気がでないわけですよ。もうそれはそれは果てしなくて、困難なことなんです、彼らには。上司に「とりあえず、エレベスト登ってきて。」って言われる感覚です。わかりますか?(わからないでしょうね。僕も自分で何言ってるかわからない。)
でもですね、例えばそこで「毎日1ページだけでいいからやろっか」と付け加えたらどうでしょう。急に「まあ、それくらいだったら…。」となりませんか?
一冊を終わらせている自分の未来像は遠すぎるけど、1日1ページやってる未来像は届きそうじゃないですか?
僕が宿題を嫌がる生徒によくやってるのは、「1問だけ解いてみよ!よしできた!じゃあ、あと1問解いてみよう!いいね!じゃあ、次は3問連続で解いてみよう!」という言い方。そのうち気付いたら集中して問題を解いている。これも目の前に届きそうな未来像を用意してあげる。ということになりそうですね。
これはオトナでも一緒ですよね。
「30キロ痩せる!」ってのはやる気でないけど、「まず今月3キロ痩せよ。」だったらちょっとやる気出ますよね。
自分とかけ離れすぎていると、イメージができなくなる。「イメージできない=本当の目標となりえない」です。
僕も、本物の長澤まさみさんを、口説こうとは思わないけど、居酒屋で隣の席になった長澤まさみさん似のお姉さんは是非とも口説き落としたい(切実に)。
なんの接点もない本物の長澤まさみさんを口説くまでの具体的イメージがないですから。隣の席にいるお姉さんだったらなんとなくイメージできますよね。
お勉強で言うのであれば、普段数学50点の子に「次は100点目指す!」と言われても、それは「本当の目標になりえない」ことが多いです。
その意気込みは買いましょう。もちろん上を目指す気概は大切。ただ、その子の中で本当にそこまで辿りつくイメージがあるか。が重要です。
その目標にたどり着くイメージがない場合、その時の意気込みがどれだけ強くても、結局失速します。
未来像が具体的に見えない。
▼
どう頑張ればいいかわからない。
▼
届きそうにないと気付く。
▼
あーやる気でねー。
で、結局あまり点数上がらない。というのは、あるあるなのです。
それなら「まずは70点目指す。」の方が、ずっと現実的で生産的。
20点分いつもより多く勉強するだけ。どこで20点取るかを決めて、そこを重点的にやればいいだけですから。
達成への道筋が具体的に見える、届きそうな未来を用意する。というのが大切っぽいですね。
目標は細かく分けなさい!とか、短中長期で設定しなさい。とかも共通するところがあるんでしょうね。
以上、行動を促す時に「届きそうな未来像」を見せてあげることで、エネルギーが生み出されるんだな。という気づきでした。
なんかこう、序盤だけ見ると、僕全然小学生に慕われてないように感じますね。笑
いや、決してそんなわけでは……、多分……、どうなんだろう……。(玉ねぎとか言われてたしなあ)
まあ、でも小学生'sは中学生’sに憧れているみたいなので、「憧れられる役」は彼らに任せます。笑
僕は「オッサン役」で。
川村でした。
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